猫にゃーの雑記帳~我そこにとどまるな~

家族関係や心理学を学びながら、うつの経験もこっそり生かしています。30代後半1児の母、眼科医師。

意地悪な医者ってどんな人か

あけましておめでとうございます。

 

2018年の幕開けの記事がこんなタイトルで残念なのですが、

最近近しいひとから聞いた話がこれまた残念な話で、そうはいっても

共有すべきことかなと思って書きました。

 

「風邪で内科に行ったところ、抗生物質は不要と言われて処方されなかった。

あの医者は治してあげようという気持ちがない。意地悪をしているとしか思えない」

 

 

という話だったのでした。

 

 

この話に、私は相当な不快感を覚えました。

もちろん、風邪がなかなか治らなかったのは辛かっただろうとは思いますが、

それに対して「意地悪をされた」という解釈はあまりに一方的だと感じたのです。

 

 

 

まず、通常の「風邪」であればほとんどがウイルス感染なので、

抗生物質が効かない(抗生物質とは細菌を殺す、または増殖できないようにする)

ということは、意外と知られていません。

 

 

そもそも、細菌とウィルスの違いも知られていないのですが、それはちょっと置いておくこととします。

 

 

確かに、風邪の中でも最初から混合感染していて細菌も悪さをしていることもあるでしょう。

 

けれども、その可能性は低いことと、抗生物質を使うことのデメリットも考えると、

風邪で最初から抗生物質を多くだすという方針の医師はそれほど多くないのではと思います。

 

抗生物質を使うデメリットとしては、アレルギーや下痢(腸内細菌を殺すから)

のほかに、耐性菌が増えることがあります。

 

耐性菌というのは、抗生物質よりも強い菌のことで、

人間と菌とは、新しい抗生物質を開発するVS菌が生き残る、という

いたちごっこの戦いをしているのです。

(正直言って、この戦いは菌が勝つ気がしてなりません)

 

 

さて、この方の場合、最初に抗生物質を使わなかったことが結果的に良いか悪いかは別として、(その時の臨床的判断もあるでしょう)

あえて患者さんに意地悪をしようという医師は

 

相当レアだ

 

ということを強調しておきたいです。

 

ゼロだと言い切れないのが申し訳ないですが、

意地悪を企てるほど暇な医師は、今の日本の医師の激務を考えたら少ないのではないでしょうか。

人を陥れるには、エネルギーも時間も使いますから、それほどの余力があれば

もっと楽しいことに使いたいと思っている人の方が多いでしょう。

 

 

 初めから相手を疑う姿勢では、コミュニケーションが困難になります。

ですから、「医者は患者に意地悪をしようとしている」という前提を

ぜひ取っ払っていただきたいと願います。

 

 

ここにはアンガーマネジメントの考えも応用できます。

〇〇すべき、と考えるからこそ、それがかなわないときに怒りがでてくるのです。

 

風邪には抗生物質をだすべき、受診したのだから薬を処方すべき。

 

 

そんな図式が受診する側にあるのではないでしょうか?

 

必要のない処方は減らし、限りある医療資源を本当に必要な場面にとっておきたい、

そんなマクロな視点をもっていきたいと思います。