いつか必ずやあなたの糧になる
ある日。
心のトラブルが体の症状に現れて、1年間休学したという人が話を聞きに来ました。
復学できることになったが、
何に気をつけたらよいのか、とのこと。
その姿に、
「今度こそ失敗しないようにうまくやらなくては」という
気迫のようなものを感じたのですね。
気迫というか、ちょっと行き過ぎた感じがしたので
この方にとって、休学や心の病というのが人生の「汚点」だったという意識なのではないかと思ったわけです。
そのようにはっきり聞いたわけではありません。
でも、休んだ分頑張らなくては、
次休むようなことがないようにしなくてはと
頑張れば頑張るほどその落とし穴が近くにできるということは私も知っているのです。
そうすると、私の頭ではなくて、
心というか魂のほうが勝手に口に乗りうつるかのようにして
言葉が口から出て来ました。
こうした経験は、望んで努力してできるものではない。
だから、ある意味では幸運なことなのだ。
そこから這い上がってきた人の話を聞きたいという人は五万といる。
今はまだ周りにいないかもしれない、でも、
ある程度の年齢にもなれば、
きっとその話を聞かせてくれという人が現れる。
それだけの貴重な経験をしているのだから。
そして、願ってもできる経験ではないのだから。
必ず、いつか生きてくる。
その言葉が出てきたとき、
彼の口からやっと力強い声を聴くことができたのです。